今日は、日本ホリスティック医学協会会長 黒丸尊治先生の文献から、
「悩みが解決するとき ~何がひとを癒すのか~」
について引用させていただき、私の考察を述べたいと思います。
【悩みが解決するとき~何が人を癒すのか?】
(ホリスティックマガジン2021 P22~23から引用)
誰もが大なり小なり悩みや問題を抱えて生きています。悩みや問題を解決する方法はいろいろありますが、通常は問題の原因を見つけ、それを取り除いて解決するという考え方が一般的です。こういった原因志向によるアプローチは、パソコンの不具合のように原因が特定でき、それを取り除いたり交換できる場合には有用です。
しかし、複雑な人間関係の問題や些細なことを気にしたり、落ち込んだりするという感情が関与する問題には不向きです。なぜならば、その問題にはたくさんの要因が関与しており、原因など特定できない場合がほとんどだからです。
たとえ主要因や原因が特定できても、それが考え方や性格、態度であった場合、故障した部品を交換するように、簡単に新しいものに変えるというわけにはいきません。過去に囚われないようにするとか、ネガティブ思考をポジティブ思考に変えるなど、理屈はいくらでも言えますが、実際にそれを実行するのは、容易いことではありません。
性格や考え方が関わる問題には、原因思考的アプローチだけで対応するのは甚だ困難なのです。
そうは言っても、自分の考え方を変えるか、無理にでも気持ちを切り替えない限り、問題は解決へと動き出しません。その際、一般的に行われているのが説得や話し合いなどによって考え方を変えるという方法です。たとえば、組織の中で意見が対立する場合などは、自分の意にそぐわないことでも、上司の指示でやらざるを得ないこともあるかもしれません。
もう少しスマートなやり方としては、対立した価値観の共通項を見つけ出し、それに基づいてお互いが自分の立場で探していくという方法を採用している組織もあります。ただし、これはそのような「環境」があるからできることです。
無理に変わろうとしない
問題の解決には、考え方(認知)を変えることがポイントになりますが、それを一人で変えようとすると、どうしても堂々巡りになってしまい、そう簡単には変えられないのです。
ここで大切になってくるのが「行動」です。
なぜなら人は様々な経験や体験により、ものの見方や考え方が変わってくるからです。
大きな失敗をすれば、嫌でも自分の考え方を見直さざるをえません。逆に、たまたま上手くいったことがあれば、「こう考えればできるんだ」と、今までとは異なる新たな考え方を取り入れることになります。このように人は、いろいろな経験を通して、ものの見方や考え方が少しづつ変わっていくのであり、それが人間的成長にもつながっているのです。
また、行動をすれば、どこかで何らかの「気づき」があるはずです。内なる気づき、それが自分の考え方を変えるきっかけになると思います。もっとも、小さな気づきはたくさんありますが、その気付きはすぐに脳裏から消え去ります。
でも、それでよいのです。気づいたことや自分で体験したことは、一旦、無意識の貯蔵庫にしまわれ、その後必要に応じて取り出され、様々な場面で活用されるからです。
これらの作業のほとんどは、自分が意識することなしに行われています。
ですから、特に自分を変えようと意識しなくても、以前と比べて何か変わった気がするというのは、無意識に蓄えられた知識や経験を、知らず知らずのうちに活用し、新たな経験を積み上げていった結果になるのです。
考え方が変われば、自ずと心も穏やかになるでしょう。つまり「感情」にも変化が現れます。
以前ほど怒らなくなったっとか、あまりイライラしなくなったというのは、自分の考え方や価値観が変わってきた証拠です。
ただし、信念に近い思い込みや、強烈な感情が伴う体験をした場合、そこで形成された思いは、その後たくさんの経験をしたとしても、そう簡単には変わりません。それらは自分の考え方だけでなく、自分の置かれた環境や、持って生まれた性格などが関与するため、そのような強い思いが形成されてしまうと、ある意味、自分ではどうすることもできない部分でもあります。
だからといってあきらめる必要はありません。自分なりに多くのことを学び、得意分野で力や持ち味を発揮し、そこで積み上げられた数々のポジティブな経験としての「行動」が相対的にネガティブな想いを小さくしてくれる可能性があるからです。
あとは「時間」も重要です。長年の歳月と、様々な経験の積み重ねにより頑なな想いも次第に緩み、あるちょっとした「きっかけ」で、一気に融解することもあります。何事も諸行無常であり、変わらないものなどないのです。
自分の考え方も不変ではありません。ですから、すぐに変わらなくても、いつかは来るであろう「変わる」ときを待てばよいのです。
無理にもがいて、自分を変えようとするのではなく、自然の流れに任せ「時間」と「きっかけ」が自分を変えてくれるのを待つ、そんな思いも大切だと私は思っています。
安心、信頼、自己肯定感
悩みや問題が長引いて慢性的なストレスに苛まれている場合は、自分の悩みに役立ちそうな本を読んだり、人とのつながりを通して癒されることも大切です。その際のポイントは「安心」と「信頼」です。
このふたつが感じられる相手であれば、友人や同僚、医療者、セラピスト、援助者・・・、誰でも構いません。安心感や信頼感を持てる相手がいるだけで、人は癒されますし、それがこれからも続くかもしれない慢性的なストレス状態を乗り切るための、大切なエネルギー源になるのです。
さらに言うならば、希望や可能性も感じさせてくれる話やアドバイスをくれる人がいたら最高です。相手の「心の治癒力」を信じ、希望や可能性を持てるかかわりをしてくれる人の方が、ずっと自己効力感や自己肯定感が引き出されるため、ストレス状況に置かれても前向きな気持ちになれるのです。
大切なのは未来を信じる力です。安心感や信頼感があり、かつ希望や可能性を持たせてくれる存在を、ぜひ見つけてください。様々な悩みや問題を抱えたとき、きっとあなたに癒しと勇気を与えてくれることでしょう。
【考察】
人は、誰にも様々な悩みや問題を抱えていて、それと真っ向から対峙しながら問題解決に取り組む行動を取る人と、悩みや問題に対して目を逸らしながら。自分にとってストレスになっている事柄を直視することを怖れている人に分かれると考えます。
精神的なレジリエンスの強さがある人は、「これは私の問題だ。自分に何が出来るだろう」と、これまでの経験に基づいて、冷静客観的に捉え、積極的にこれらの問題に対して解決方法を考えて行動に移します。
しかし逆に、これらの問題に対し目を逸らし続けている人は「関わらなければ(放っておけば)どうにかなるだろう」または、悩みや問題に対してネガティブ思考になり「この不安や怒りや焦りをどうにかしたいが、どうしたらいいのか分からない」と一人もがき苦しみ、その悩みや問題を解決するために行動しようとせず、自分の心にだけ苦悩の原因を抱え込んでしまいます。
それに加えて誰にも援助を求めることすら憚り、八方ふさがりの状態を自分から作り出している人が多く見受けらると考えます。
問題解決の方法は、文献に書かれてある通り、自分の置かれた環境において、折り合いをつけるか、原因が特定できない悩みや問題においては、自分の性格や性質が根底にある限り、簡単には変えることはできませんが、「考え方」を変えることで、感情の変化も伴ってきて、自ずと悩みや問題解決につながるケースが多いものだと思います。
行動する人は、これまでの経験や学びを適応能力という形に置き換えて、問題解決の為の方法を構築する能力に長けており、何事に於いても誰かのせいや他の現実のせいにはしないと思います。
ですので、文献にも書かれていますが「自分なりに多くのことを学び、得意分野で力や持ち味を発揮し、そこで積み上げられた数々のポジティブな経験としての「行動」が相対的にネガティブな想いを小さくしてくれる可能性がある」ものであり、自己否定や自身の喪失などによって悩みを解決するためにどうしたらいいのか分からず、自己嫌悪に陥ったり自己憐憫になったりする必要はないと考えます。
人間は、自分が思っている以上に優秀な能力を有しています。人間的(身体的・精神的)成長を伴うには「時間」の流れに応じて、小さいことの中の積み重ねで無意識に潜在意識に全ての経験がデータとして蓄えられていると考えます。
多くの人は、ただそれに気がついていないだけで、ある状況に出くわしたら、咄嗟にその能力が開花され、自分でも思いもよらない素晴らしい能力を発揮できることも多いものです。
その能力は潜在意識に貯蔵されており、ある条件が整った場合に、無意識に能力が発揮できるもので、そのような体験をした人はその事実に「気づき」を得て、自分の自信回復に考え方が切り替わります。それが、ここで言う「時間」と「きっかけ」と言うものなのだと思います。
「安心感」や「信頼感」は、自分の常日頃の生活の中で関わる全ての人達の中で、言語・非言語的コミュニケーションによって「感じがいい」人との関りを深めることで培われてくると考えます。
そのような人を見つけるには、心を許せる人を見つけることが肝心になってくると考えます、その、心を許せる人を得るためには、自分から様々な人に対して直接、または間接的にアプローチを行い、マッチングできる人を探す決断と努力と行動が必要になってくると言えます。
特に、重要な悩みや問題を抱えておられる方に対しては、このアプローチは大切なポイントになると言えます。新しい出会いやご縁には、自分を癒してくれる存在が現れる可能性があるからです。何もしないでいれば、いつまでたっても負のループから抜け出せないものだと考えます。
直接、個人で悩みや問題に対抗しようとするのではなく、心許せる誰かとのマッチングをしていき、その人との関りの中で、自分の考え方と共有できる部分が有ったら、そこを深く掘り下げていき、自分の考え方は、この悩みや問題の解決に適しているのか否かを客観的に確認することが出来るのだと考えます。
そこで、悩みや問題解決をする上に於いて、今までの「考え方」では駄目だという気付きを得て、新しい価値観や、新しい人との出会い(直接的な出会いやSNSを通しての出会い)や書物や動画を見て得られた考え方を学ぶための、心の自由への扉が解放され、多くの学びを実益につながせることが可能になるものと考えます。
大切なのは未来を信じる力。いわゆる「希望」を常に持つ姿勢を保持する意識に自分の心のモードに合わせておくことが大切だと思います。
「夢」や「希望」は、人間が生きていく上での欠くことのできない絶対条件の一つだと言えます。
そのため、安心感や信頼感を持てる人(家族、夫婦、子供、先生、恋人、友人、セラピスト、カウンセラー、コーチ、自分にとってのメンターなどなど・・・)とのつながりを大切にし、その人たちからの励ましの言葉やポジティブ思考に癒され、自分が置かれた環境の中で最大限出来る事を積極的に、目的意識と、「安心感」や「信頼感」を土台に、ひとつひとつの悩みや問題解決をそれらの人達に共有してもらうことで、ひとつひとつ期限付きの明確な目標を持って、悩みや問題解決を図っていくことが、様々な悩みや問題を抱えたときに、揺るぎない癒しと勇気を与えてくれるものだと言えると思います。
最後までご高覧ありがとうございました。