皆さん、こんにちは!
運営です
今日はホリステッィクマガジン2011より
『認知症の症状と対応』について抜粋し、紹介したいと思います。
認知症の症状と対応
認知症の人のもの忘れの特徴として、例えば、食事をしたことや電話を受けたことなど、体験全体のもの忘れが起こります。自分が忘れていることに気づいてないことが多いため、日常生活全般に支障が出てきます。認知症の症状は」、脳の器質的変化による中核症状(一次要因)と、心理・社会・環境要因からなる行動・心理症状(二次要因)からなります。中核症状は、薬物療法と非薬物療法によってある程度は進行を抑えることはでき、行動・心理症状は、質の高いケアを提供することによってかなり改善を図ることができます。
中核症状としての記憶障害(直前のもの忘れが起こる)に対しては、もの忘れを責めず、根気よく対応する。見当識の障害(時間・場所・人物がわからなくなる)には、不安にさせず生活リズムや生活環境を整える。思考力や判断力の障害(思考の連続性がなくなる)には、複雑なことを伝えず、判断材料を限定すること。実行機能の障害(物事の手順がわからなくなる)には、一度に伝えず、ひとつひとつの言葉がけが大事です。
認知症の人に対する介護の基本は、1.何ができて何ができないかを知る。2.本当にできないかどうかを確認する(できない?やりたくない?機会がない?)3.本当にできなくなってしまったことはやらせないようにする。4.できることはどんどんやってもらう。大切なのは認知症という病気を見るのではなく、認知症を抱えた人を見る、理解するという視点です。
もの忘れ、見当識障害、判断力障害などの中核症状に加えて、不安感、不快感、ストレス、身体症状などが加わって起こるのが行動・心理症状です。こうした行動・心理症状の出現は、介護者にとっても大きな負担となり、ストレスを与えます。それらのストレスが知らず知らずのうちに不適切なケアとなって表れ、認知症の人の行動・心理症状を悪化させるという悪循環を生みます。したがって、認知症の症状にだけ目を奪われずに、その原因を探り、原因に沿った適切なケアを行い、そして介護者のケアを行うことが効果的です。
最近問題になっている若年性認知症は、若年期に発症する認知症の総称で、現在37,800人と推定されています。男性に多く見られ、脳血管性認知症39.8%、アルツハイマー型認知症が25.4%、頭部外傷後遺症7.7%、前頭・側頭型認知症が3.7%となっています。若年認知症の家族の6割にうつ状態がみられるという報告もあり、本人のケアだけでなく、経済的負担や、家族の心理的支援などが重要課題になっています。
認知症介護特有の問題点として、認知症の人に認知機能障害があるため、介護者の言ってることをなかなか理解してくれず、何度も同じことをくりかえさなけけれならないという点があります。また介護に対するねぎらいが少ないこと。介護の大変さを周囲から理解してもらいにくく、しかも介護を受ける本人からも感謝の言葉を期待できにくいのです。ですから、在宅介護をする家族の心構えとしては、1.介護者自身が健康であること、2.手伝ってくれる人を探すこと、3.相談する人は場所を確保すること、4.サービスを効果的に利用する(上手に手を抜く)ことなどが大切です。
認知症の予防
1.予防の3段階
①発病を防ぐ(一次予防):物忘れ検診、画像診断などによる早期発見・早期対応
②進行を遅らせる(二次予防):認知訓練・学習療法など
③治す(三次予防)※薬物療法と非薬物療法の両輪が大事
2.危険因子(これが危ない)と予防因子(これが大切)の考え方
3.予防できない危険因子
①年齢(加齢)②性別 ③遺伝など
4.予防可能な危険因子
生活習慣病(高血圧・高脂血症・糖尿病・肥満・煙草など)頭部外傷・悲観的姿勢・その他の因子として、教育(10代までにIQが高い人は認知症になりにくい)・銀杏エキス・セレンなど※アルミニウムは何らかの影響が疑われるので気になる人は避ける。
5.予防を促進する因子
魚や海産物中心の食事・ビタミン(B,C,E,葉酸、ニコチン酸)・適量飲酒(ビール中瓶程度)・運動・趣味(読書、ゲーム、楽器演奏、ダンス)など
予防のこ・う・し・き…
「こ(交流)」閉じこもることなく多くの人と交流する
「う(運動)」無理のない運動を継続いて行う
「し(食事)」バランスの良い食事(魚・野菜などを中心に)
「き(休憩)」無理をせず疲れたら休憩(30分程度の昼寝)
※予防することによって認知症を確実に防げるものではありません。しかし、危険なものは避け、予防の可能性があるものは実行してみることが大切です。認知症の人と介護家族の生活の質の向上を目指して、認知症サポーターの養成など、地域で支える視点を持ちましょう。
東北福祉大学総合福祉学部副詞心理学科教授 加藤伸司
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